インプラント治療のはじまりは1900年代

十数年前より、日本においてもインプラント治療が積極的に選択されるようになりました。
当院においでになる患者さんの中でも、インプラント治療をお選びになる患者さんも増えています。

今回の歯のコラムでは、改めてインプラント治療について書いてみたいと思います。

とかく、インプラント治療は最先端治療という言われ方をしますが、記録によると、その始まりは紀元前まで遡ると言われています。そして、それらが現代の歯科治療に積極的に用いられるようになったのが1900年代です。

1950年代に入るとスウェーデンのブローネマルク博士らが、チタン製のスクリュータイプのインプラント体を用いて歯の治療に応用する事に成功しています。それから半世紀以上も経過した現代では、より優れた治療法に進化し、皆様の歯科治療に導入されています。

改めて振り返ると、非常に歴史の深い歯科治療がインプラント治療であることがお分かりいただけるかと思います。
最先端治療というよりも、長い年月をかけて、臨床に確実に応用してきた歴史のある治療であると言うことができます。

そもそもインプラント治療とは

それでは、そもそもインプラント治療とは、どんな歯科治療であるかについて簡単にご説明いたします。

これまで、歯を失ってしまった場合(抜歯になった場合)、治療の選択肢としては、ブリッジか入れ歯(義歯)しかありませんでした。ブリッジ治療は、皆様もご存知の通り、隣の健康な歯を削らなければならないというデメリットがあり、入れ歯は見た目や噛み心地に不満のある方が多くいらっしゃいました。

そこで、第三の治療の選択肢として、インプラント治療が登場したのです。

インプラント治療は、抜け落ちてしまい無くなった歯の歯根部として、人工のチタン製の歯根を埋め込みます。これはスクリュー型になっていて、埋め込んだ後は、しっかりと顎の骨と結合し、失った歯根の代わりを果たしてくれます。

その上に義歯をのせることで、自分の歯のような機能性を取り戻す歯科治療です。

人工歯根となるチタンは、生体親和性が高く、アレルギー反応も少ない素材です。多くの方が使用可能な素材です。ここが、銀などの金属類とは異なる、大きなメリットでもあります。

そして、このチタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込むために、外科手術が必要となります。長時間かかる手術では無いので、あまり心配は要りませんが、外科手術が必要という点が、最も不安に感じる部分かと思います。

インプラント治療の流れについて

次に、インプラント治療の流れと注意点等についてご説明いたします。
チタン製のインプラント体を顎の骨に埋め込むためには外科手術が必要ですと説明しました。

もちろん、入院等は不要ですし、1本のみの埋入であれば、10〜15分程度で手術は完了いたします。出血も少ない手術ではありますが、持病のお薬で血が止まりにくくなるお薬を飲んでいる方は、必ず事前にご相談頂く必要がありますので注意が必要です。

手術後は状況を確認し、特に問題なければ、そのままご帰宅いただけます。ただし、安全のためにお車やバイク・自転車などの運転は控えていただき、公共交通機関やタクシーなどをご利用いただきます。

翌日は手術部位の消毒などを行い、患部の状態を確認いたします。
そこからは、人工歯根と顎の骨がくっつくまでの治癒期間をおきます。

当院が導入しているAQBインプラントは、比較的治癒期間は短く、1ヶ月〜2ヶ月くらいで仮歯が入れられるようになるのが特徴です。抜歯後は全体の噛み合わせをみながら、術後経過を観察していきます。

その後、最終的な歯を被せて完了です。
見た目も自然な人工歯と近く、美しい仕上がりになるのがインプラント治療です。

インプラント治療の注意点について

それでは最後に、インプラント治療を受ける時の注意点について説明していきます。
インプラント治療は、非常に優れた治療法ではありますが、外科手術が必要という点も含め、誰でも行える治療であるという訳ではありません。

小児は顎の骨が発育過程にありますので、インプラント治療を受けることはできません。成人以降の方が対象となります。
また、埋め込む顎の骨が薄すぎる方も手術が不可能な場合もあります。そのため、顎の骨の状態を確認するため、インプラント治療前の各種検査(CTやレントゲン等)が重要になります。

また、重篤な持病を抱えている方も慎重に進める必要があります。
例えば、心疾患のある方や糖尿病のある方などは、特に要注意です。
糖尿病がある方は、手術後の傷の治りが悪くなる傾向にあり、感染症等にも注意が必要になるからです。血糖値のコントロールがきちんとできているかを確認してから手術に挑む必要がありますので、必ず歯科医師に伝えてください。

さらに、インプラント体を埋め込む歯周組織の検査も行う必要があります。
歯周炎を起こしている所にインプラント体を埋め込むと、その後インプラント歯周炎を起こしやすくなり、せっかく埋めたインプラント体を除去しなければならない事態になりかねません。

インプラント治療をする歯の歯周組織はもちろんのこと、その周囲の歯の歯周病がどのような状態であるかを見極め、治療が必要な歯周病については、治療後にインプラント治療を行う必要があります。

そして最後に、インプラント治療後の説明をしておきます。
インプラント治療は、外科手術が最も大変なことのように思われますが、実は、インプラント治療後のメンテナンスが特に重要であることを覚えておいていただければと思います。

インプラント治療は、放置しておくと、インプラント歯周炎などのトラブルを起こしやすくなります。インプラントの耐久性を第一に考え、歯科医師から定めれた定期検診に起こし頂く必要があることを覚えておいてください。
インプラント治療は、保険外診療になり、高額な治療費がかかります。
折角、治療したインプラントができるだけ良い状態で保てるよう、セルフケアや歯科医院の通院が重要であることをご理解いただければと思います。