義歯を使うことで唾液が促される

前回、義歯(入れ歯)を初めて使う方々へのアドバイスをまとめてみました。いかがでしたでしょうか?

今回は、もう少し具体的な所について記事を書いてみたいと思います。

前回の記事でもまとめましたが、義歯(入れ歯)が合わないと、ついついつけるのを止めてしまう方がいることを書きました。義歯(入れ歯)が合わないことで、それが憂鬱になってしまい、義歯(入れ歯)を使わず生活をしてしまいます。
前回もお伝えしたとおり、合わないからといって義歯(入れ歯)を使わなくなると、どんどん顎の骨が痩せてしまいますので、できるだけ歯科医師に相談して、ご自身にあう義歯(入れ歯)を付けていただきたいと思います。

それでは、義歯(入れ歯)を使って食事することの大きな意味とメリットをまとめてみたいと思います。

まずは、唾液についてです。
私たちの口腔内にある唾液は、当たり前のように思われがちですが、唾液が良くでる口腔内環境と、そうではない環境についてご理解していただく必要がございます。

唾液は、食べ物を噛んだりすることで、良く出るようになります。
よって、噛むという動作をしなくなると、唾液は出にくくなるのです。義歯(入れ歯)を使わず、噛まない食事を続けていると唾液も少なくなります。
唾液が少なくなると、様々なデメリットがありますので、少し説明してみたいと思います。

唾液の大切な役割

唾液は、とても大切な役割を担います。
例えば、唾液の中には消化酵素が含まれています。酵素アミラーゼがデンプンを分解し、その後の消化を良くするように働きかけてくれます。

また、口腔内を清潔に保つのにも役立ちます。唾液により、食事などで汚れたお口の中が綺麗になるのです。お口の中は細菌だらけですが、その細菌の繁殖を抑制してくれますので、それによって口臭などが予防できます。

例えば、緊張した時などに口臭が起こることをご存知ですか?
人間は緊張すると唾液が少なくなります。そのことにより、お口の中の細菌が繁殖し口臭を引き起こすのです。朝、目覚めた時にも口臭がある場合もあると思います。これは、夜間は唾液の流出が減るためです。

さらに、唾液はお口の中の傷などの治癒にも関わっています。口内炎もそうですが、お口の中の粘膜を誤って噛んだ場合も、唾液が傷を直してくれます。

そして歯に関わる事では、最大のメリットとして、唾液が活躍するのが虫歯の治癒です。お口の中は、食事によって取り込まれた糖などによって脱灰と再石灰化を繰り返しています。つまり、虫歯になりかけた部分再石灰化により虫歯に進行せずに治癒するということです。

そして、この再石灰化に唾液が活躍します。つまり、唾液は虫歯予防にも大きく役立つのです。

これらの通り、唾液というものは、私たちのお口の中で、非常に活躍してくれることが分かったかと思います。
つまり、唾液が減少すると、これらの機能も弱まってしまうということです。

さて、話を義歯(入れ歯)に戻したいと思います。

つまり、義歯(入れ歯)が合わないことで噛むことを止めてしまうと非常にデメリットが大きいのです。ただ、食べ物が食べにくいという事だけがデメリットではありません。噛むことにより受けられるメリットがうけられなくなります。

これらの事から、できるだけご自身にあう義歯(入れ歯)を使って、よく噛んで食事することが大切なのです。

噛むことと脳の刺激

それでは、もう一つ噛む事の大切な役割を説明したいと思います。
それは、脳への刺激です。

実は、噛むという行為が脳と密接につながっていることが分かっています。脳とお口が関係していると言われると、あまりピンとこない方もいるかもしれません。しかし、大分前から、認知機能と咀嚼機能の関係などが研究で明らかになっていて、歯科治療と高齢者の身体機能の改善が密接に関係していると言われています。

例えば、義歯(入れ歯)を調整して、噛むことができるようになった高齢者が歩けるようになったなどの事例もあり、歯科医療では高齢者の身体機能改善のためにも、義歯(入れ歯)調整を積極的に行うようになっています。

これら、噛む事と認知機能について簡単にご説明します。
私たちの脳の中にある海馬という部分は、私たちの記憶に関係する所です。記憶力が低下し物忘れが多くなる脳の老化現象は、自然な加齢現象です。軽度の物忘れは問題ありませんが、それが生活に支障をきたすほどになると認知症を疑わなければなりません。

そして、物を噛む、咀嚼という行動は、実は脳の海馬に直接働きかけてくれる信号になります。噛めば噛むほど、脳への刺激が多くなり、高齢者の身体機能へも良い影響を与えると言われています。

よって、高齢者にとっても、義歯(入れ歯)をつけて良好に噛むという事を続けることで、脳への刺激を高めることができます。

噛合せと身体のバランスとの関わり

そして最後に、噛む事(咀嚼)と身体のバランスを整えるも関係があることに触れておきたいと思います。
人間が二足歩行をはじめてから重い頭をのせて歩くために、全身のバランスを整えて歩くようになりました。

この身体のバランスを整えることにも、噛むという力が関係しています。
例えば、人は踏ん張る時などに、無意識に奥歯をギュッと噛み締めています。無意識にやっていることなので、あまり意識したことが無いかもしれません。

しかし、人間は身体のバランスをとるために、こうして噛みしめる事をやっているわけです。
しかし、歯が無くなって、この噛み締めが無くなると身体のバランスをとるのが難しくなります。
そういう意味でも、義歯(入れ歯)が合っているか合っていないかなどは、非常に重要な事なのです。

噛むことと義歯(入れ歯)の関係まとめ

これらのように、義歯(入れ歯)と身体の関係をまとめてみると、いかにお口の機能というものが、全身の機能密接に関わっているかがおわかりになったかと思います。

義歯(入れ歯)は、ただ単に食べ物を食べる機能のみならず、身体全体と関わり、とても大切な役割を果たしているのです。
日頃から、合わない義歯(入れ歯)を我慢して使っていたり、合わないので使わなくなったりすることはオススメできません。

できるだけ早めに、お近くの歯科医院に相談し、適切な義歯(入れ歯)を作ってもらう事が大事です。最近では、保険診療外の義歯(入れ歯)も様々出ています。機能性のみならず、見た目にも良いものもありますので担当医に相談してみると良いと思います。

当院でも、義歯(入れ歯)に関するご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。